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鹿屋名物「とんかつ竹亭本店」創業のウラ話と美味しさの秘訣を探るインタビュー

友人や知人が鹿屋に来たら絶対連れて行きたいお店ナンバーワンのとんかつ竹亭本店。いつも変わらず美味しいとんかつを提供してくれる名店です。創業から変わらない味を守り続けていらっしゃる創業者・久保功(いさお)さんと2代目・竹弘さんに、美味しさの秘訣やこれまでで一番印象に残った出来事などを伺いました。

御年80歳のマスターが語る「元気の秘訣」とは?!

以前筆者が主人と竹亭に行った際に、カウンターでお茶を入れて下さったのがマスターの功さんでした(ありがたいことに功さんから「マスター」呼びの許可をいただいたので、以後マスターとお呼びしています)。その時、頭の低いマスターのお姿が印象的でとても心を打たれたことをお伝えすると、マスターは穏やかな口調でこう答えてくださいました。「私も80なんです。お客さんとお話ししたり、お声を聞けるのが今の一番の楽しみなんです。テレビを視ていてもつまらないし、可能な限り仕事にでようかなぁと考えています。それが元気の秘訣じゃないかなぁ」

創業のきっかけと美味しさの秘訣は「地産地消」にあり!!

取材の機会をいただいて、まずは直球で筆者が一番知りたかったことは、とんかつ竹亭本店創業当初のことと、美味しさの秘訣。創業のきっかけについて質問をぶつけてみました。「東京の食肉専門学校に通って専門知識を学びました。とんかつ屋で修行らしい修行を積んだわけではなく、東京には話題のとんかつ屋がいくつかあって、食べ歩きをしているうちに『鹿児島は豚の産地でありながらどうしてとんかつ屋がないんだろう?』と不思議に思うようになったんです」とマスター。そうして地元鹿屋に戻ってとんかつ屋として看板を上げたのが1971年。九州でもとんかつ専門店は大手チェーン店くらいしかなかったようで、個人経営のとんかつ専門店としては先駆者的存在だったのだろうと思いを巡らせます。

要の豚肉は県内3つの卸売業者から仕入れているそう。味と質にとことんこだわり抜いて、納得したものしか仕入れないとのこと。「鹿児島にいい豚肉がいっぱいあるのに、何もよそに送る必要はない。地元の食材を地元で美味しく食べようよ、という感じでやっているわけです。自分のこの目でお肉を厳選して揚げたてを提供しているのだから、美味しくて当然でしょう!」そう語るマスターは自信に満ち溢れていて、お客様に美味しいとんかつを提供するんだという強いこだわりがひしひしと伝わってきてとても感動しました。

ちなみに、マスターが食肉専門学校で学んだ豚肉の栄養素の秘密は、店内設置の竹亭ミニ冊子にも記載されていますので、ぜひチェックしてみてくださいね。

お味噌汁、キャベツ、漬物。とんかつの美味しさに彩りを添える名脇役

竹亭ファンの筆者が思うに、定食を食べていて「とてもバランスが良いなぁ」と感じるのです。柔らかな千切りキャベツ、程よく漬かったお漬物、そして優しい味わいのお味噌汁。筆者の思いを伝えると「キャベツはいつでも美味しく食べていただきたいので、季節ごとに仕入先を変えています。漬物は、白菜は塩漬け、大根はぬか漬け。毎朝毎晩お店で漬けていますよ。味噌汁は、麦味噌を使っています」とマスターの口からこだわりが続々と。主役の豚肉だけでなく、副菜の食材の産地選びや日々の一つひとつの仕込みなど、表には見えないところで丁寧な日々の努力があってこその黄金バランスなんだなぁと、ますます竹亭への愛が深まりました。

上とんかつ定食(筆者撮影)

20年以上前の企画で発行した「一生とんかつ食べ放題チケット」

創業50年余りの中で特に印象に残っていることを尋ねてみると、「『地域振興券2万円分で65歳以上の方は竹亭のとんかつ一生食べ放題』という企画をやりました。当時は新聞に掲載されたり、全国ニュースにも取り上げられて、沢山のテレビ局が取材に来てそれはそれは大変でした」とマスター。地域振興券が発行されたのは1999年。今でもその企画で発行した食事券を持って食べに来られる常連さんがいらっしゃるんだそう!ザッと計算しても88歳以上でしょうか。竹亭のとんかつを食べて、益々お元気で長生きされること間違いなしですね(笑)

鹿屋竹亭本店(筆者撮影)

「まちの定食屋さんとして地元で愛され続けたい」2代目・竹弘さんの今後の展望

今後の展望を伺うと「奇をてらう事無く出来る事をコツコツやっていきたいですねぇ」と答えてくださった2代目の竹弘さん。地道な日々の積み重ねは、簡単なようでなかなか難しいこと。それをしっかりと受け継いでいらして、だからこそ今の竹亭が昔から変わることなくたくさんのお客さんで賑わい喜ばれているのだと感じました。「遠方からわざわざ食べに来てくださるお客様もいてとてもありがたいことだなぁと思います。ただ、地元のお客様にもずっと親しまれるお店でありたいですね。まちの定食屋さんとしてこれまで大切にしてきたことは守りながら、もっとたくさんの人に知ってもらえるようにがんばりたい」との言葉も印象的でした。竹弘さんの俯瞰する視点で、時代のニーズに合わせてこの竹亭を更に盛り上げていかれるのではと、未来への期待が膨らみます。

いち竹亭ファンとして取材をさせていただき、とんかつ竹亭のこだわりや美味しさの秘訣、老舗ならではのウラ話を伺えてとても嬉しかったです。取材を通して、変わらぬ竹亭の味がこれから先もずっとここ鹿屋で楽しめることを確信した筆者です。マスター、竹弘さん、お忙しいなか取材へのご協力本当にありがとうございました!

2代目・久保竹弘さん(筆者撮影)

ゆいの写真

この記事を書いた人ゆい このライターの記事を読む

和みのヨーガインスト&RCTハーモナイザー。 その良さをお伝えしたい為、ライター学びの最中です。また地元の素敵な方々とも繋がっていきたいです。