「鹿児島県本格焼酎鑑評会」って一体どんな会??
今回お話を伺ったのは、杜氏の上園さんと水上さん。そもそも『鹿児島県本格焼酎鑑評会』とは一体どんなものなのでしょうか。ホームページによると、鹿児島県にある各蔵の資質技術向上を図る目的に、鹿児島県酒造組合が独自で毎年開催しており、開催年度に製造された焼酎の品質評価を行っているとあります。「甘藷(さつまいも)」「黒糖」「穀類」と原料ごとに部門が設けられていて、香りや味のバランス、キレの良さなど様々な項目について審査員が点数をつけていくのだとか。総合点が基準を満たすと入賞(優等賞)となります。審査員は熊本国税局の鑑定官を含む8人余りで構成されていて、“美味しさ”や“飲みやすさ”といった主観ではなく、あくまで“品質”を見ています。(詳しい内容は公式HPでご覧いただけます)
悔しい経験を経てみんなでつかんだ優等賞
鑑評会の結果は、審査当日に会場で発表されるそうですが、連絡があるのは落選の場合のみ。当日の気分は受験生さながら。受賞したとわかったときは「よかった!」といった安堵の声があがったり、隣同士で握手しあうなど、それぞれが喜びを分ちあったのだとか。さらに「電話、来てない?」とみんなで確認しながらドキドキして過ごしたと聞くと、鑑評会のもつ重みと緊張感が伝わってきますよね。
毎年出品している『焼酎小鹿』ですが、社内で数銘柄を飲み比べたうえで満場一致により選出しているのだとか。実は3年前に入賞を逃し、非常に悔しい経験をしたといいます。「すぐに原材料や製造工程・管理などすべてを見直し、みんなで同じ方向をみて焼酎をつくれるよう、改めて想いをひとつにと軌道修正しました。その後、無事受賞したときはとてもホッとしました。」と上園さんは教えてくださいました。
安定した焼酎をつくるためにも入賞はひとつの指標
焼酎造りに欠かせないサツマイモや麹の仕上がりは自然に大きく左右されるとはいえ、質の変化はしっかり消費者に伝わることから、品質を安定させるという点でも、入賞できるかどうかは常に頭にあると言います。
上園さんには4年前にもお話を伺っていて、当時で焼酎造り32年目だったにも拘わらず、「焼酎は未知であり、未だ勉強中」と真摯に向き合う姿が印象的でした。そんな上園さんに“杜氏”として苦労もあるのでは?と聞くと、少し考えたあと「小さな違和感をつぶすこと」という答えが返ってきました。それは言葉にできないほどの違和感であり、毎日向き合っているからこそ感じるようになる違和感なのだとか。理由もわからないソレについて一つ一つ工程ごとに確認作業をしていくと、実際に“何か”が起きる前触れだったようで、早い段階で原因に辿りつき、解決できるのだそうです。隣で聞いていた水上さんも、ウンウンと深く頷いていました。
『杜氏』も次世代へとバトンをつないでいく段階へ
『杜氏』とは酒蔵にただ一人の存在です。今も杜氏として“毎日の晩酌に飽きない、飲みやすい焼酎造り”を心がけていらっしゃるのだとか。それを崩さないように、生産農家とも足並みを揃え、製造のみんなと一丸となって今まで通りの焼酎造りを行っていきたいと上園さんは言います。普段から、みんなで一緒につくっているという意識をもってもらうよう、50名近くの社員が部署を越えて、今も懇親会やボーリング大会などプライベートでもコミュニケーションを図る機会が設けられているようです。
そんな上園さんも杜氏となって約10年、齢50代半ばを迎え、次期杜氏を育てる段階だと考えていらっしゃるようです。次の世代にバトンを繋ぐ気持ちで今は焼酎造りについて伝えてるのだとか。
これからも変わりゆく時代の中で、変わらぬ味を守り続ける小鹿酒造
さらに今後についてのお話を伺うと「毎日の晩酌に飲む、居酒屋で食事しながら飲むなど様々なシーンにおいて“焼酎小鹿”を愛飲してくださる方(ファン)を増やしていきたいと思っています。新商品の開発にも力を入れて“小鹿酒造”を知ってもらい、“焼酎小鹿”につながっていけたらうれしいです。」と教えてくれました。
そんな中ふと、焼酎小鹿のラベルは変わらないですねと話題にあがったのですが、販売されて53年、変わらぬ味を象徴しているようでもあります。これまでの取材を通して、歴代杜氏をはじめ社員の皆様が真摯に向き合う焼酎造りが美味しさの秘訣なんだろうなと思わずにはいられませんでした。
変わらないことへの安心と緊張感、変わることへの期待と不安。長く愛される商品を世に出し続けることへの責任の重みを知るとともに、これからの進化が楽しみでならないと感じます。
これまで小鹿酒造を取材させていただき感じたのは、みなさん小鹿愛がとても強く、いつでも明るいということ。毎回楽しく取材をさせていただきありがとうございました。今後ともInstagramなどをはじめとした小鹿酒造のSNSを要チェックです♪
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