真っ黒な包装紙に包まれた、「小鹿のロクイチマル」ってご存知??
応接室のテーブルの上にどーんと置かれた、真っ黒な包装紙に包まれた2本の焼酎。これはなかなかのインパクト!否応なしに目に飛び込んでくる「610」の数字。「ろっぴゃくじゅう??」と思わず声にすると「ロクイチマルですね。貯蔵タンクのナンバーなんですよ」と後迫課長。まずご紹介するのはこの「小鹿 荒濾過 一年寝かせ タンクNo.610(以下610)」。酒販店からの受注分のみの限定販売で今年は3月13日より出荷開始。例年900mlのみの販売だったところ、お客様からのリクエストにお応えして今年から一升瓶(1800ml)が登場したんだそう。「5合瓶では物足りない!もっと飲みたい!」そんな思いにさせる「610」とはどんな焼酎なんでしょう。
No.610のホーロータンクで1年間貯蔵熟成させた荒濾過仕上げの一本
第2工場の中にずらりと並ぶホーロータンク。特別な装いでもなく、あたりまえに、ひっそりとNo.610のタンクがありました。大小様々なタンクがある中で、限定数で作るならこれくらいの大きさがいいかなと、たまたま目に止まったのがこのNo.610だったんだそう。黒麹で仕込んだ芋焼酎を1年間このタンクで貯蔵熟成。通常販売されている焼酎は、各銘柄ごとに原酒をブレンドして安定した味わいに調整して出荷されることが多いなか、610はブレンドを行わないのが特徴。仕込んだ年の芋の仕上がりなどでわずかに味の違いが生まれるそうですが、それもまた一つの楽しみ。「荒濾過ならではの芋の香りとたっぷりの旨味に、年々ファンが増えていて認知度の高まりを実感しています」と水上さん。
一本一本手作業で包まれる特別仕様のラッピング
もう一つ特筆すべきは、この真っ黒のラッピング。発売当初はタンクと同じ深緑のラッピングだったそうですが、見た目のインパクトを高めるため数年前にリニューアル。610の数字がより際立ち認知度向上に一役買っています。裏側には、芋の植え付けから収穫、仕込みの様子などが写真入りで紹介されていて、読み応えもたっぷり。また、焼酎瓶が直射日光に晒されることを防ぎ、旨味や風味を守る役割もあるんだとか。ちなみに、包装作業はすべて手作業。一本一本丁寧にラッピングされ小売店へと出荷されます。前述の通り、数量限定販売なので、販売店で見かけたらぜひ手にとってみてくださいね。
ストーリー性のある銘柄「極醒の糀(きょしょうのはな)」
続いて紹介するのは、3月25日より出荷開始の「極醒の糀(きょしょうのはな)」。小鹿酒造では新たな試みとなる“特殊麹(※1)”を用いて仕込んだ逸品で、華やかな香りとフルーティーな味わいが特徴。5年間の長期熟成を経て、よりまろやかな飲み口に仕上がっています。開発当初、これまでにない焼酎づくりにチャレンジしようと特殊麹での仕込みに着手。5年熟成が前提ではなかったそうですが、毎年味を見ながら熟成期間を見極め、満を持して今年やっと発売に至ったとのこと。銘柄には「5年もの眠りから覚醒めた特別な麹(糀)の究極の味わいを堪能してほしい」との願いが込められています。卸先は鹿児島県内のみで本数限定と稀少。普段の晩酌にはもちろん、特別な日の一本や贈り物にもおすすめです。
※1「特殊麹」とは、華やかな香りとフルーティーな味わいを醸し出すために小鹿酒造が独自に依頼したオリジナルの種麹を用いた麹のこと。通常使用している他の麹と区別するため「特殊麹」と表現しています。なお、麹菌の詳細については非公表です。
※2「極醒の糀」の売上の一部は「令和6年能登半島地震」への支援金に寄付されます。
過去には地元高校書道部とのコラボラベルも。今後の新商品やコラボ商品もお楽しみに!
小鹿酒造といえば、やはり代表銘柄の「小鹿」の印象が強いですが、不定期に発表される「仮面ライダー生誕 50周年記念焼酎」のような完全限定品や、「献上小鹿 金箔焼酎」のように毎年発売されるシーズン毎の限定品などにもご注目。鹿屋のプロサイクリングチームCIEL BLEU KANOYAを応援する想いから誕生した「シエルブルー鹿屋」や、海上自衛隊鹿屋航空基地にちなんで「ブルーインパルス賛歌/ホワイトアローズ」などを企画。「2021年に発売した『糀の想結(はなのおもい)』は鹿屋女子高校の書道部にラベル文字の揮毫を依頼しました。アルコール商品なので高校生に依頼する難しさは感じましたが、書道部員の皆さんはもちろん、鹿屋市や学校、部員の保護者の方々のご理解をいただいて実現できたことは嬉しかったですね。小鹿を応援してくださる地元の方々への感謝の気持ちを込めた特別な銘柄でした」。普段から地域貢献への気持ちを大切にしている小鹿酒造らしいエピソード。今後の新商品やコラボ商品からも目が離せませんね。